【開催報告】スポーツの力~次代の都市ブランドと市民アイデンティティを考える~#PowerOfSports
■スポーツの力~次代の都市ブランドと市民アイデンティティを考える~■
http://peatix.com/event/206363
浜松モール街–Any(エニィ)にて2016年11月20日(日)、社会学、心理学の見地からスポーツビジネスを考えるシンポジウム『スポーツの力~次代の都市ブランドと市民アイデンティティを考える~』が㈳静岡県民球団主催のもと盛会のうち開催されました。現在、日本のスポーツ産業は市場規模約5兆円、昨年10月に新設されたスポーツ庁は2025年までに現在の約3倍の15兆円まで拡大させることを計画しています。国内総生産(GDP)600兆円に向けた政府の成長戦略においてもスポーツ産業の成長には大きな期待が寄せられ、未来の日本を支える大きな産業に成ること目指し、スポーツの成長業化が掲げられています。
他の何でもなく何故?スポーツにそこまでの期待が集まるのでしょうか。
本シンポジウムでは、スポーツに期待される役割、スポーツでなければ担えない社会的な機能とは何か?という根本的なところから掘り下げ、これからのスポーツと市民、スポーツと都市との在り方について考える機会として開催致しました。参加者には、行政のスポーツ振興担当の職員の方々や、スポーツビジネスに携わっている方等、20名余りの浜松市民にご出席いただきました。
■スポーツとは人間にとって何なのか?
社会的装置とは、『一つの国ないし特定の地域に住む全ての人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような存在のことである』とした上で、「スポーツビジネス」は先進国が一様に経済成長を終えた2000年代に入ってから急成長を遂げた数少ない産業である点を町田氏は強調して解説。
続けて、経済成長が終わった成熟社会は、互いの価値観の多様性を認めることによる自由を獲得した反面、皆が共有できる正しさや目標、モデルなどの「大きな物語」を喪失させ、人々を孤独や不安に追いやったのではないだろうか⁈
米国やヨーロッパがかつて直面し今尚ぶつかっている社会課題に、成熟社会となった日本もまた同様に、様々な社会課題に直面し、正解のない問いに迫られるストレスフルな日々苦しんでいるのではないか⁈
日々目まぐるしく情報が飛び交い、様々な判断をしなければならない日常に疲れ、瞬間的にでも日常を忘れたいと思うような息苦しさを感じながら生活しているのではないか⁈
と、「スポーツビジネス」のお話の前段として、時代の流れ、現代社会の状況を冷静に振り返りお話しされました。
故にそこには「開放感」や「一体感」など、「生きる事に対する肯定感」を渇望する多くの人々に共通する深層心理・欲望が存在し、それは、成熟社会における不可避的かつ普遍的な「問題」であると提起し、その優れた解決策(solution)としてスポーツが人々に欠かすことのできない「社会的装置」である、とお話しされました。
映画や音楽など、他の文化活動と共通しながら、しかしスポーツは人を選ばず、より多くの人々の心に届き、皆に共有されやすい存在である、という他とは異なる価値(solution)を持っているという町田氏のご講演。
スポーツの魅力は何なのか? それは卓越した身体能力を発揮して人を魅了する純粋な競技力だけではなく、高校野球や女子サッカーなでしこジャパンから受ける感動がある様に、不安で不安でたまらない現代社会を生きる人々が欲してやまない価値(solution)が確かに在ることを身近な事例からお話くださいました。
■参加者の感想、目から鱗が落ちた!
参加者からは
「何故、人がアイデンティティをスポーツに求めるのかが、良く解った。」
「スポーツがコミュニティのプラットフォームに成ることが望ましいのだと理解できた。」
「若い人達がなんで、フジロックフェスティバルやサマーソニックに集まるのか理由が解った。」
「最近、繋がりや絆をうったえるTV番組が多かった印象だったが、その訳が分かった。」
と言った「スポーツビジネス」のお話しを超えた気付きがあった旨の感想をいただきました。